まめ知識 : 一般的な作法・マナー

  掛軸の扱い方、購入のコツ

  【 掛軸を長持ちさせるコツ 】

  掛け軸を長持ちさせるコツは「定期的な掛けかけ」です。

  長く掛ける場合でも、2〜3ヶ月ほど掛けたら一度片付けて休ませましょう。
  また、使わない掛け軸も一年に一回は虫干しを兼ねて掛けるようにしましょう。できれば、一年に2回程度、春・秋の晴れた日に虫干し(室内に掛ける)をして下さい。
  虫干しの際、桐箱も軽く陰干しして、乾いた布で拭きます。

  掛軸を片付ける場合は、必ず、専用の防虫香を入れて、湿気の少ない場所に保管します。ナフタレンや樟脳はシミの原因となりますのでご注意下さい。


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  【 掛軸の購入 〜 選び方 】

  掛け軸を購入する際のコツです。
@  粗悪品を買わない。
安価なものは中国・韓国製の粗悪な印刷品です。最低でも1万円程度より上の商品をおすすめします。
はじめは絵の良し悪しがよく良く分からないので、あまり高価なものを買わず、まずは1〜2万円程度のものを少し購入し、それから気に入ったものを徐々に揃えていくと良いでしょう。
A  まずは最低限必要な4本を揃えましょう。
掛軸には「年中掛け」「行事用」など種類があります。
まず、普段用として、季節に関係なく飾れる「年中掛け」を2本用意し、交互に掛けます。できれば1〜2ヶ月ごとに掛け替えて下さい。
あとは、慶事と正月の兼用として「松竹梅高砂」または「鶴亀松竹梅」を1本、法事・弔事用「六字名号(南無阿弥陀仏)」などを1本。
とりあえずは、これで用が足ります。
興味が出てきたら、節句や季節などいろいろな種類を検討すると良いでしょう。
B  家に眠っている古い掛軸も活用しましょう
古い掛軸は表装し直せばキレイによみがえります。破損や色焼けがあっても大丈夫です。
安価なものを購入するよりも、家に眠っている掛軸を活用しましょう。
できるだけ質の良い掛軸を眺めるほうが、目が肥えます。
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C  適切な道具で、掛け替え時に手入れをしましょう。
掛軸の手入れは難しくありません。
道具として、最低限、「羽根ばたき」「防虫香」「矢筈」「風鎮」を用意しましょう。
  • 掛軸についたホコリは、「羽根ばたき」で軽く払います。
  • 片付けるときは、掛軸専用の「防虫香」を使います。衣類用のナフタリン等はシミになりやすいです。
  • 床の間の金具に掛ける/外すときは、「矢筈(やはず)」を使いましょう。
  • 巻きグセのついた掛軸をまっすぐに垂らすため、「風鎮(ふうちん)」を使いましょう。


  【 掛軸の種類 】

結納
 ・
結婚
 ・
正月
 ・
慶事全般用
「松竹梅高砂」(左)
「鶴亀松竹梅」(右)
  結納だけでなく、お祝い事全般・正月用にも使える便利な掛軸なので、慶事用として最低限必要な1本です。
  特に 「松竹梅高砂」 は夫婦和合と長寿を表わし、結納に最適です。結納の日取りが決まった直後から、結婚式終了まで掛けておきます。
  その他、慶事のたびに、一週間から1ヶ月程度掛けます。正月は元旦から1月末まで掛けます。

(注意)  「鶴」「亀」だけの絵は「年中掛け」です。”長寿祝い”以外の慶事用には向きません。
結納
 ・
結婚
 ・
結婚記念日
「鴛鴦(おしどり)」(左)
「夫婦昇鯉(めおとのぼりごい)」(右)
  夫婦円満の縁起絵として、結納・結婚・結婚記念日に使うことが出来ます。
  慶事の軸としては華やかさが少ないので、結納よりも結婚記念日などに使うのが良いと思います。

  「鴛鴦」「夫婦昇鯉」の季節掛けとしても使えます。
正月用 左から、
「旭日」
「旭日と鶴」
「七福神」
「三福之図」

他に、「赤富士」「天照大神」「天神様」など
正月に相応しい縁起絵です。
元旦から1月末まで掛けます。

「三福の図」とは、「一富士二鷹三なすび」の初夢の縁起絵です。

「松竹梅高砂」「鶴亀松竹梅」も使えます。
仏事
 ・
弔事
左から、
「六字名号」
「観音」
「十三佛」
「蓮華」

他に「三尊佛」など。
佛画や各宗派の名号などです。
  仏事・法要・お彼岸・お盆・弔事に飾ります。

  仏事用として最低限必要な1本です。
出産 左から、
「四君子」
「四季花」
「龍(干支)」
「虎(干支)」
  「四君子」「四季花」は、各季節の吉祥花を集めた図案で、縁起絵として掛けます。
  子どもの干支にちなんだ掛け軸もよく使います。
節句 「雛」(左)
「兜」(中)
「鯉の滝登り」(右)

「鯉の滝登り」は男子の節句用としても、夏の季節掛け・年中掛けとしても使えます。

他に、「武者」「鍾馗(しょうき)」
  それぞれ、節句の1ヶ月前から節句終了まで掛けます。
開店
 ・
開業
「七福神」(左)
「赤富士」(中)
「二福神(恵比寿大黒)」
  商売繁盛や吉祥の縁起絵です。

  「赤富士」は、の季節掛けとしても使えます。
新築祝い
 ・
落成祝い
左から、
「竹に雀」
「富峰」
「四季花」
「山水」
  「竹に雀」は、地に根をはる竹と、子孫繁栄・難をついばむ吉鳥である雀の縁起絵です。年中掛けや、夏の季節掛けにも使えます。

  「富峰」「四季花」「山水」は、使い勝手の良い年中掛けとして贈ります。
長寿 左から、
「松竹梅高砂」
「鶴亀松竹梅」
「六瓢(むびょう)」
「亀」

他に「鶴」「墨跡(ぼくせき)」
  「松竹梅高砂」「鶴亀松竹梅」「鶴」「亀」は、長寿の縁起絵として、「六瓢」は「無病」に通じる縁起絵です。
  「墨跡」は禅宗僧侶(主に臨済宗)の肉筆の筆跡です。
  還暦・喜寿などの祝いとして掛けます。
選挙
 ・
昇進
「大昇鯉(だいしょうり)」   いわゆる「鯉の滝登り」です。
  黄河に龍門という所があり、これを昇れば龍に化するという故事から、栄進出世を願う縁起絵です。
  五月の節句、夏の季節掛けにも使います。
年中掛け 左から、
「山水」
「四季花」
「四君子」(梅・竹・蘭・菊)
「書画」

他に、虎、龍、鷹、ふくろうなど、季節を限定しないもの、縁起絵、書など。
  普段用として、季節に関係なく年中掛けます。
  掛けっぱなしは傷むので、1〜2ヶ月ごとに掛けかえます。

  普段用として最低限必要な掛軸です。
  まずは2本用意し、交互に掛けると良いでしょう。
季節掛け 左より
「梅に鶯」(春)
「鮎」(初夏)
「紅葉」(秋)
「南天に小禽」(冬)

他にも多種あります。
  季節に応じて掛けます
  季節感を先取り、実際の季節よりも1ヶ月程度早めに掛けるのが良いです。


  【 道具(あると便利) 】

  手入れ用の道具類です。

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「羽根ばたき」

掛軸のホコリを払います。
市販の羽根ばたきでも使えます。
できるだけ羽根の柔らかいものをお使い下さい。
掛軸用のものは、柄が長いので、掛軸の上部まで羽根が届きます。
「防虫香」

掛軸や美術品用の防虫香です。
白檀や丁子などの「お香」の粉末なので、掛軸が痛みません。
(衣料用の樟脳やナフタリンはシミが出来やすいので、ご注意下さい)
掛軸を箱にしまう時に一緒に入れます。
虫喰いを防ぎ、掛軸が痛まず、よい香りがします。
「矢筈(やはず)」

掛軸を掛ける/外す時に使う竿です。
先端に金具がついており、床の間のフックに簡単に掛軸を掛けられます。
過って掛軸を落としたり、軸のヒモを痛める心配が無くなります。

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「風鎮(ふうちん)」

掛軸の下端にぶら下げるオモリです。
掛軸の巻きグセを直し、風に翻るのを防ぎます。
風鎮自体も美術品であり、陶磁器製で色々なものがあります。掛軸にあわせて風鎮を取り替えるのも楽しいです。
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吊り下げ金具

床の間に取り付けるねじ込み式フックです。
床の間によく合う、和風のデザインです。掛軸専用の金具です。

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  【 掛け方、片付け方 】

  《 掛け方 》

@  畳に置いた状態で、絵の上端あたりまで開き、2本の風帯を伸ばします。

A  巻緒(掛緒から伸びている長い紐)を掛軸の背後に垂らし、掛緒(紐)に矢筈(やはず)を掛け、片手で掛軸本体を持ちながら、矢筈を使って持ち上げます。(左写真)

B  矢筈を使って、床の間の金具に掛緒をひっかけ、静かに矢筈を抜き、掛軸をいっぱいまで垂らします。

C  風鎮(ふうちん)をぶら下げておくと、掛軸の巻きグセは自然にとれます。



  《 片付け方 》

@  羽はたきでホコリを落としてから、掛けたままの状態で一文字(絵の下端)まで巻きます。
   巻いた軸を片手で持ったまま、矢筈(やはず)を掛緒に引っ掛けて はずします。(左上、掛け方の写真)

   そのまま畳におろし、ゆるめに巻いていきます。


A  風帯(上端から2本垂れている細い帯)を折り目通りに左右に折り重ね、付属の巻紙(厚紙)をはさんで巻きつけならがら、軸を最後まで巻きます。(左図[1])
   巻紙の端は、軸先にはさみ込みます。


B  巻緒(紐)を右側から3回巻き、余った部分を掛緒にくぐらせます。(左図[3])


C  くぐらせた巻緒の先を、掛緒の右側にくぐらせ、左右の長さが均等になるように調整します。(左図[4])
   ゆるい場合は、巻緒の輪になった側を軽く引っ張って締めます(強く締めない)。


D  箱に収めます。枕の凹み部分は、軸先がうまく収まるように片側に寄っていますので、向きを間違えないように収めます。(左図[5])
   防虫香を入れて、箱を閉めます。