まめ知識 : 一般的な作法・マナー

  還暦など、長寿の祝い

  還暦 など、「長寿の祝い」の意味・チャンチャンコの色などの説明です。
  年齢は 数え年 (生まれた年を1歳とする。満年齢より1歳多く数える) です。

  記念品などに掛ける 熨斗紙(のしがみ) の表書きは、 「寿」 か、それぞれのお祝いにあわせ 「祝還暦」「祝米寿」 などと書きます。
  水引の色は 金銀 か 紅白 で、結び方は 「蝶結び」 です。

  なお、長寿祝いをいただいたお返しをする場合は、蝶結びの熨斗紙に「内祝」と書き、当日または当日後なるべく早く渡します。



  【 蝶結び 】

  「寿」 か、それぞれのお祝いにあわせ 「祝還暦」「祝米寿」 などと書きます。


【 長寿の祝い の意味 】
 「長寿の祝い」は「賀寿(がじゅ)」「歳祝い」とも言い、さらなる長寿を願って行うお祝いです。
 日本では奈良時代からその習慣があり、江戸時代に入り一般的な風習として広まったといわれています。
 奈良時代の頃は中国の風習を取り入れ、当時は寿命も長くないため40歳以降から10年おきに「四十の賀」「五十の賀」と祝っていました。それが次第に変化し江戸時代の頃には、「家長は還暦(数え年の61歳)を迎えると、隠居して家督を後継者に譲るものだ」という、長寿のお祝いというよりも『家系が絶えることなく、さらなる繁栄を願う儀式』といった意味合いが強かったようです。そこからさらに現在の風習に変化していきました。
 なお、チャンチャンコなどを贈る場合の「色」については、還暦「赤または朱」と決まっていますが、それ以外のお祝いは、本来はっきりと決まった色はないようです。

年齢
(数え年)
名  称 お祝いの色 意  味
61 還暦
(かんれき)
赤・朱     60年で生まれた年と同じ干支に還ることから、この名があり、本卦還り(ほんけがえり)、華甲(かこう:この二字は分解すると61の字画から成る)ともいわれる。
  赤い頭巾やチャンチャンコや座布団を贈って祝う習慣は、60年巡って赤ん坊にかえるという意味が含まれている。
  なお、お祝いの色「赤」は、日本の伝統色から考えると、本来は「朱」を用いるのが正しいだろう。
66 緑寿
(ろくじゅ)
緑     2002年に全国百貨店協会が提唱した。65歳定年とする企業が増えて「第2の人生の節目となるのは65歳である」と捉える向きがあることから、現代の感覚に合わせた賀寿として提唱された。満65歳以上が行政上の「高齢者」だが、まだまだ介護の必要はなく、現役世代と高齢世代の節目の年齢として新たな社会活動への参画を促すスタートラインと位置づけられた。
  66歳→ろくろく→緑緑(ろくろく)として、「緑緑寿(ろくろくじゅ)」となるところを簡潔にして「緑寿」とした。
  お祝いの色「緑」は、21世紀が「環境の世紀」といわれることから「緑」をイメージした。
70 古稀・古希
(こき)
紫・紺     唐の詩人「杜甫(とほ)」の「曲江詩」にある有名な一節「人生七十古来稀」から名付けられた。平安時代の文献にすでにこの賀寿がでてくる。祝い方は時代・地方により各家庭さまざまで、定まった形式はない。
  お祝いの色は「紫」が一般的だが、「紺」でも良いとの説もある。
  お祝いの色「紫」が中国伝統色では高貴な色にあたり、「紺」は日本では庶民の色であったことから、本来は「紫」を使うのが正しく、「紺」は紫の代用として用いるものと考える。
77 喜寿
(きじゅ)
紫・紺  
または
黄・金茶 
  「喜」の略字が「七」を3つ重ねた形であり、草書体で書くと「七十七」と読めることから、77歳またはその祝いをいうようになった。起源は室町時代といわれ、厄年の一つでもあった。扇子に「喜」の字を書いて配る習慣もある。
  お祝いの色は「紫(または紺)」が一般的だが、「黄または金茶」とする風習もある。
  お祝いの色「黄」「金茶」は、どちらも中国の伝統色では高貴な色であり、どちらを使ってもよいと考える。
80 傘寿
(さんじゅ)
紫  
または
黄・金茶 
  「傘」の略字が「八」と「十」で、「八十」と読めることから。「傘」は末広がりなので、おめでたいとされる。
  お祝いの色は「紫」が一般的だが、「黄・金茶」とする風習もある。
81 半寿(はんじゅ)
  または
盤寿(ばんじゅ)
黄     「半」の字が「八十一」と分解できることから、81歳のお祝いのことをいうようになった。
  また、将棋盤のマス目が9×9=81になることから、将棋の世界で「半寿(はんじゅ)」を「盤寿(ばんじゅ)」と呼ぶようになり、一般的に広まった。
  お祝いの色は「黄・金茶」が一般的。
88 米寿
(べいじゅ)
黄・金茶     「米」の字を分解すると「八十八」に見える事から。
  米文化である日本を象徴し、末広がりの「八」の字が重なることで、おめでたいとされる。
  「米年」「こめの字の祝」「米(よね)の祝い」とも言わる。
  お祝いの色は「黄・金茶」が一般的。
90 卒寿・卆寿
(そつじゅ)
紫  
または
黄・金茶  
または、白
  「卒」の略字である「卆」が「九十」と読めることから。
  お祝いの色は、「紫」が一般的だが、「黄・金茶」や「白」という風習もある。
  お祝いの色「紫」は中国伝統色で高貴な色であり、また「古希、喜寿等の色に戻り再出発」という意味がある。「黄・金茶」は中国伝統色で高貴な色、「白」は日本で神事に用いる神聖な色なので、いずれを用いても縁起が良い。地域の習慣や入手し易さで色を選べば良いだろう。
95 珍寿
(ちんじゅ)
なし   「珍」の偏(へん)である「王」を「一」「十」「一」に分解し、右側の旁(つくり)を「八三」とすると、「1+10+1+83=95」となることから、95歳を意味する賀寿をいうようになった。
  お祝いの色はとくに決められていない。
  なお、「これほどの長寿はとても珍しい」という意味で、「珍寿」は数え年110歳や112歳以上の賀寿の呼称としても用いられる。
99 白寿
(はくじゅ)
白     「百」の字から「ー」を取ると「白」になることから。
  お祝いの色は「白」が一般的。 白装束を着せて祝う地方もある。
100 百寿(ももじゅ・ひゃくじゅ)
  または
紀寿(きじゅ)
  または
上寿(じょうじゅ)
  または
百賀(ひゃくが・ももが)
白     「紀寿(きじゅ)」「上寿(じょうじゅ)」「百賀(ひゃくが・ももが)」ともいう。
  「紀寿(きじゅ)」は一世紀が100年であることからそう呼ばれ、「上寿(じょうじゅ)」は寿命を長さで表しており、60歳を下寿、80歳を中寿、100歳を上寿と呼ぶ。
  「百寿(ももじゅ・ひゃくじゅ)」・「百賀(ひゃくが・ももが)」は、そのまま100歳のお祝いという意味からきており、これ以降は百一賀・百二賀・百三賀などと「一賀」ずつ足していき毎年お祝いをする。
  お祝いの色「白」が一般的。なお、「百一賀」から上は「お祝いの色」は決められていない。
108 茶寿
(ちゃじゅ)
なし   「茶」の「くさかんむり」は「十十」と書くことができ、旁(つくり)の部分を崩すと「八十八」になる。これを足すと「108」になることから。
  「お祝いの色」は特に決められていない。
110 椿寿・珍寿
(ちんじゅ)
なし   「大椿(だいちん)」という、中国に伝わる伝説上の大木についての「荘子」の記述「上古大椿という者あり、八千歳を以て春と為し、八千歳を秋と為す」から、「とても長生きすること」という意味で、数え年110歳賀寿の呼称とした。
  また、「これほどの長寿はとても珍しい」という意味で、「珍寿」ともいわれる。
  「お祝いの色」は特に決められていない。
111 皇寿(こうじゅ)
  または
川寿(せんじゅ)
なし   「皇寿」は、「皇」の上部「白」が「百から一を引く」で「九十九」、下部「王」が「十」と「二」に分解できるので、足し合わせて「百十一」になるところから。
  「川寿」は、算用数字の「111」が「川」に見立てられることから。
一般的には「皇寿」の方がよく用いられる。
  「お祝いの色」は特に決められていない。
112 珍寿
(ちんじゅ)
なし   「珍寿」は、「これほどの長寿はとても珍しい」という意味で、数え年110歳、112歳の賀寿の両方の呼称として用いられる。
  なお、112歳以後は毎年「珍寿」という呼称でお祝いを行う。
  「お祝いの色」は特に決められていない。
118 天寿
(てんじゅ)
なし   「天」の字が「一」「一」「八」に分解できるところから。
  「お祝いの色」は特に決められていない。
119 頑寿
(がんじゅ)
なし   偏を分解し「二」+「八」、旁(つくり)を分解し「百」+「一」+「八」、合計119になることから。
  「お祝いの色」は特に決められていない。
120 昔寿(せきじゅ) なし   「昔寿」のいわれは、『「昔」の字を分解すると「廿」(20)と「百」となるため』という説と、『「昔」の字を分解すると「十一」「十一」「日(98)」となり、足して120となる』との説がある。
  「お祝いの色」は特に決められていない。
121 大還暦
(だいかんれき)
なし   「大還暦」は2回目の還暦を迎えるという意味で、かつて長寿世界一になった泉重千代さんを讃えるために作られた造語が定着した。
  「お祝いの色」は特に決められていない。