掛軸の扱い方、選び方
各部の名称

掛け軸の各部の名称です。
実際の使用では、次の4つの部分をよく触ります。
- 巻緒(まきお)
- 掛け軸を片づけるとき、巻いた掛け軸の周りを巻いて結ぶ紐です。
掛けている間は、後ろに垂らしておきます。 - 掛緒(かけお)
- 掛け軸を床の間に掛ける時にフックに引っ掛ける紐です。
- 風帯(ふうたい)
- 掛けた時にひらひらと垂れることで、掛け軸に虫が止まるのを防ぎます。
掛け軸を巻いて片付ける時は、まっすぐ巻き込まず、八双のすぐ下で90度横に(八双に添うように)折って巻き込みます。普通は折り跡があるのでわかります。 - 軸先(じくさき)
- 風鎮(ふうちん)をぶら下げます。
掛け方

- @ 平らな場所で少し広げる。
- 畳に置いた状態で、絵の上端あたりまで開き、2本の風帯を伸ばします。絵を広げすぎないのがコツです
八双にはさんである紙は、片づける時にまた使うので、捨てずに箱に入れておきます。 - A 平らに置いたまま、矢筈(やはず)を引っ掛ける。
- 巻緒(まきお)を掛軸の背後に垂らし、平らな状態のまま、掛緒(かけお)に矢筈(やはず)を掛けます。
そして、片手で掛軸本体を持ちながら、矢筈を使って持ち上げます。
(左の写真) - B 床の間の金具に掛ける
- 軸を保持したまま、矢筈を使って、床の間の金具に掛緒をひっかけます。そして、静かに矢筈を抜き、軸をゆっくりと下げ、いっぱいまで垂らします。
- C 風鎮(ふうちん)をぶら下げる
- 軸先を片手で保持し、両側に風鎮をぶら下げます。風鎮の重みで、掛軸の巻きグセは自然にとれます。
片付け方

- @ 掛けたまま、一文字まで巻く。
- 羽はたきでホコリを落としてから、掛けたままで一文字(本紙の下端)まで巻きます。
巻いた軸を片手で持ったまま、矢筈(やはず)を掛緒に引っ掛けてはずします。(上の「掛け方」の写真と同じ) - A そのまま畳におろす。
- 矢筈に掛けたまま畳におろします。
そして、矢筈をはずし、軸先側からゆるめに巻いていきます。 - B 風帯を折る。
- 本紙の上端くらいまで巻いたら、風帯(ふうたい)を左右に折り重ね(折り跡の通りに折ります)、巻紙を八双にはさんで巻きつけならがら、軸を最後まで巻きます。巻紙の先端は掛け軸の巻き終わり部分にはさみ込みます。(左図[1])
- C 巻緒(まきお)を巻く。
- 八双が上になるように置き、巻緒を手前から下にくぐらせるようにして、向かって右から左へ3回巻きます。
そして、余った巻緒を、手前から掛緒の下をくぐらせ、左へ出します。(左図[3]) - C 巻緒を掛緒にはさむ
- 左へ出した巻緒を二つ折りにして、折り目側を掛緒の右側へはさみます。
巻緒の左右の長さを揃え、右端(二つ折り部分)を持って、下へ軽く引っ張り、紐を締めます。(左図[4]) - D 箱に収める。
- 箱内の凸凹に合わせて掛け軸を入れます。「枕」は、片側が広くなっているので、広い側に八双が入るように納めます。(左図[5])
防虫香を入れて、箱を閉めます。
道具
掛け替えや手入れには専用の道具を使いましょう。軸の扱いが楽になりますし、落としたり、シミ・虫喰いなどで、掛け軸を傷めるのを防げます。風鎮を使えば、1本の掛け軸でも雰囲気を変えて楽しめます。
手ごろな値段で準備できます。安価なもので十分ですので、ぜひご利用下さい。
⇒ 【一部商品はネット販売しておりますので、ご利用下さい。】
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「矢筈(やはず)」
掛軸を掛ける/外す時に使う竿です。
先端に金具がついており、床の間のフックに簡単に掛軸を掛けられます。
過って掛軸を落としたり、軸のヒモを痛める心配が無くなります。
【通販ございます。商品ページこちら】
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先端に金具がついており、床の間のフックに簡単に掛軸を掛けられます。
過って掛軸を落としたり、軸のヒモを痛める心配が無くなります。
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「風鎮(ふうちん)」
掛軸の下端にぶら下げるオモリです。
掛軸の巻きグセを直し、風に翻るのを防ぎます。
陶磁器製で色々な形や絵柄があり、風鎮を替えるだけで掛け軸の雰囲気が変わって楽しめます。
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掛軸の巻きグセを直し、風に翻るのを防ぎます。
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「防虫香」
掛軸や美術品用の防虫香です。掛軸を箱にしまう時に一緒に入れます。
白檀や丁子などの「お香」の粉末なので、掛軸が痛みません。(衣料用の樟脳やナフタリンはシミが出来やすいので、ご注意下さい)
虫喰いを防ぎ、掛軸が痛まず、よい香りがします。
【通販ございます。商品ページこちら】
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白檀や丁子などの「お香」の粉末なので、掛軸が痛みません。(衣料用の樟脳やナフタリンはシミが出来やすいので、ご注意下さい)
虫喰いを防ぎ、掛軸が痛まず、よい香りがします。
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掛軸を長持ちさせるコツ
掛け軸を長持ちさせるコツは「定期的な掛けかけ」です。
長く掛ける場合でも、2〜3ヶ月ほど掛けたら一度片付けて休ませましょう。
また、使わない掛け軸も一年に一回は虫干しを兼ねて掛けるようにしましょう。できれば、一年に2回程度、春・秋の晴れた日に虫干し(室内に掛ける)をして下さい。
虫干しの際、桐箱も軽く陰干しして、乾いた布で拭きます。
掛軸を片付ける場合は、必ず、専用の防虫香を入れて、湿気の少ない場所に保管します。ナフタレンや樟脳はシミの原因となりますのでご注意下さい。
虫食いや傷などで掛け軸を傷めないよう、できるだけ専用の道具をお使いください。
長く掛ける場合でも、2〜3ヶ月ほど掛けたら一度片付けて休ませましょう。
また、使わない掛け軸も一年に一回は虫干しを兼ねて掛けるようにしましょう。できれば、一年に2回程度、春・秋の晴れた日に虫干し(室内に掛ける)をして下さい。
虫干しの際、桐箱も軽く陰干しして、乾いた布で拭きます。
掛軸を片付ける場合は、必ず、専用の防虫香を入れて、湿気の少ない場所に保管します。ナフタレンや樟脳はシミの原因となりますのでご注意下さい。
虫食いや傷などで掛け軸を傷めないよう、できるだけ専用の道具をお使いください。
掛け軸の選び方
掛け軸の選び方、購入する際のコツです。まずは最低限必要な4本を揃えましょう。
- @ 最初はまず、普段掛けを1本買う。
-
掛け軸の図案には、一年中季節に関係なく掛けられる「普段掛け」(「年中掛け」とも言う)と、特定の季節や節句や慶事・弔事など掛ける時期が決まっているものと、2種類があります。
最初はまず、一年中掛けられる「普段掛け」を1本買いましょう。
「普段掛け」の定番の図案は「山水」や「四季花」などですが、魔除けや幸運の図案である「虎(魔除け)」、「龍(吉祥)」、「フクロウ(幸運)」などでも構いません。
最初は安価なもので構いません。 - A 2本目の普段掛けは、絵の品質を意識して買う。
-
掛け軸は、同じものを掛け続けると早く傷むので、普段掛けをもう1本買って、半年ごとに交互に掛けるようにします。
掛け軸の品質は値段相応です。
1万円以下の商品は中国・韓国製の粗悪な印刷品の場合が多く、日本人作家の作品を国内メーカーが高精度のシルクスクリーンで印刷した、そこそこ高品質の軸を求める場合は、15000円程度以上のものを選んだほうが良いでしょう。
最初に購入した掛け軸と見比べることでよくわかりますので、2本目は、絵の品質を意識して購入します。 - B 3本目は慶事の掛け軸を買う。
-
結婚、正月、受験合格、昇進、誕生日など、家庭内のお祝いの時は、慶事の掛け軸を掛けます。
3本目は慶事の掛け軸を買います。
「松竹梅高砂」または「松竹梅鶴亀」が定番です。正月にも掛けられます。 - C 4本目は仏事の掛け軸を買う。
-
法事や弔事の時は、仏事の掛け軸を掛けます。
まだ仏壇や墓が無く、法事をしない家庭では必要ありませんが、法事をする家では必要です。
「六字名号(南無阿弥陀仏)」や「観音様」などの図案です。
これで、「普段掛け」2本、「慶事」1本、「仏事」1本となり、とりあえず最低限必要な4本が揃いました。 - D 5本目以降は趣味で買う。
-
ここから先はお好みで購入します。
「季節」「節句」「干支や吉祥・魔除け」「書」などです。
季節や節句の掛け軸は、実際の季節・節句よりもやや早めに掛けるのが風流であり、正しい掛け方です。例えば「鮎」「カワセミ」などの「夏の掛け軸」は5月頃から掛け始め、8月の後半には「紅葉」などの「秋の掛け軸」に掛け替えます。 - E 家に眠っている古い掛軸も活用する。
- 古い掛軸は表装し直せばキレイによみがえります。破損や色焼けがあっても大丈夫です。
家にしまってある古い掛け軸の方が、安価な新品よりも高品質な場合が多いです。家に眠っている掛軸を活用しましょう。
できるだけ質の良い掛軸を眺めるほうが、目が肥えます。
⇒ 【掛軸の 表装 承ります。お気軽にお問い合わせ下さい。】 - F 適切な道具を使い、簡単な手入れをしましょう。
- 掛け替え時に落としたり、保管中にカビや虫食いで傷めてしまわないために、適切な道具を使い、簡単な手入れをしましょう。
最低限必要な道具は、「矢筈(やはず)」「風鎮(ふうちん)」「羽根ばたき」「防虫香」の4つです。