結納・結納返し の しきたり

  中部・北陸地方 の 結納・結納返し

  あてはまる県

  愛知県、 岐阜県、 三重県、 福井県、 石川県、 富山県

  実物の例

九品飾りの例

五品の略式飾りの例(つぼ酒 付き)

結納返しの例

特  徴

 @ 結納金は2つ(一部地域では3つ)用意する。

 結納金は、もとも2種類の贈り物だったのがお金に変わった物で、それぞれ意味があります。
 「小袖の反物(婚礼衣装の生地)」「小袖料(こそでりょう)」「柳の樽酒」「家内喜多留(やなぎだる)」という金封になっています。地域によって呼び名が異なる場合がありますが、同じものです。
 「小袖料」には、100万や50万円など大きい金額を入れ、「家内喜多留」には、小袖料の一割を入れます。
 愛知県半田市武豊町では、結納の食事を持参する意味で「御馳走料(ごちそうりょう)」と書かれた金封を追加し、結納金が3つになります。 他の一部地域で、「酒肴料(しゅこうりょう)」と書かれた金封を用いる場合もあります。

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 A 結納金を入れる箱や金封に鶴と亀の水引細工が付いている。

 2つの結納金を収めた金封が結納飾りの中心になりますので、の水引飾りを付け、華やかでよく目立つように飾ります。
 五品飾り三品飾りなど略式結納にする場合は、結納金の「鶴」「亀」を中心にして、他の品物を省略することで組み合わせを調整します。

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 B お酒を一緒に飾ることが多い。

 もともと、「決め酒」といい、結納の日取りを決めるため仲人や両親が新婦宅を訪れる際に酒を持参する風習があります。
「決め酒」を行った場合は結納にお酒を付けないのですが、現在は「決め酒」を省く場合が多いので、結納と一緒にお酒を飾るのが一般的になっています。
 最近では「決め酒」自体は廃れてきていますが、風習にちなんで、結納前に事前の顔合わせを行う場合は、縁起物としてお酒を持参するとよいでしょう。(その場合は結納にお酒は付けません)
 右の写真は全国一般的な「角樽(つのだる)」です。
 愛知県知多半島には「つぼ酒」という、一升瓶に直接水引飾りをつける独特の風習があります。「一生連れ添う」という意味があります。(ページ先頭の中央の写真を参照)

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 C 結納返しは必ず行う。

 結納と結納返しを両家で取り交わすことで婚約が成立するので、結納返しは必ず行います。
 結納の後に日を改めて行っても良いですし、あらかじめ用意して結納と同日に返しても良いです(どうするかは新婦側の都合で決めます)。
 結納返しは、結納よりも略式(結納がかなり略式の場合は同程度)の飾りを用意し、ご先祖やご両親などの品を追加します。金封は、小袖料の一割家内喜多留の半額を用意します。
 ちなみに、「返す」という言葉は縁起が良くないんので、あいさつの際は「結納返し」と言わず「御引出結納(おひきでゆいのう)」と言います。
 新郎側は、結納返しをどうするかについては、新婦側に一任して下さい。新郎側で「結納返しは要りません」と言うと、「嫁はもらうが、親戚付き合いはしない」という意味になるので気をつけましょう。

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 D 受書を用意する場合が多い。

 「受書」は、結納の領収証であり、結納を持参した男性側女性側から受け取ります。
 本来は女性側が用意するものですが、男性側必ず受書を欲しい場合は、男性側あらかじめ用意しておくとよいでしょう。その場合は、男性側から「受書はこちらで用意しておきます」と伝えておくと分りやすいです。男性側で受書について考えがない場合は、要・不要などを女性側へ伝えておく必要はありません。
 なお、関西・近畿地方や西日本では、受書は必需品なので、かならず用意します。
 目録が付いていない五品飾りや三品以下などの簡略な結納の場合は用意する必要はありません。
 また、中部・北陸地方の風習では、結納返しに対しては受書は用意しません
(受書セット 通販商品はこちら)

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 E 高砂人形を一緒に飾ることが多い。

 「高砂人形」は、長寿と夫婦円満の象徴で、関西・近畿西日本の結納では必需品です。
 中部・北陸地方では、必需品という程ではありませんが、結納終了後もそのまま記念品として飾ることができるため、よく用います。
 特に、三重県・愛知県西部・岐阜県西部は関西・近畿の風習が入っているので、高砂人形が好まれます。
 それ以外の地域でも、結納の品として「記念として永く飾れるものを付けたい」と考える場合は、高砂人形が最適です。「夫婦円満・長寿」の他に「魔除け・財運」の縁起もあり、見た目も愛らしく、よい記念となります。
 (高砂人形の由来はこちらを参照)

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 F ご先祖やご両親など家族への品物も用意し、結納として並べる。

 これから両家が親戚になる挨拶(あいさつ)の意味で、家族への品を付けます。
 以前は家族全員分を付けましたが、現在はコンパクトな結納が好まれるので、ご先祖様のお線香または両親への品物を1〜2品用意します。
 ご両親への品物は、特にこだわらない場合は「末広がり」の縁起物として(折りたたみ)をよく用います。
 結納の場合は、省いても問題ありませんが、新婦の親御さんが亡くなっている場合は、必ずお線香を付けましょう。
 結納返しでは、嫁ぐ側からの挨拶の品として必需品です。結納に家族への品物が付いてなければ一品、付いていた場合は同数または1品以上多く付けます。

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 G 結納の儀式のとき、結納品を相手側に手渡ししない。

 結納の手順で、結納品をお盆や台に乗せて手渡しをする儀式は行いません。
 結納品を床の間の前に並べたら、両家の父親が儀式に則した口上を述べるだけです。
 結納品を手渡しするのは、近畿・関西地方西日本の風習で、儀式専用の広蓋盆というお盆とフクサを使い、金封と目録だけを手渡しします(女性側は目録を広げ内容を確認します)。
 これは、公家の文化を発祥とする結納の儀式で、最も丁寧な行い方です。京都に近い地域から西日本では、丁寧な作法が定着しています。
 中部・北陸地方は、やや略式な作法であり、手渡しは行わず、口頭でのあいさつのみです。
 指輪や記念品を交換する場合は、両家で口上を述べた後、本人同士が前へ出て行います。
 なお、ブライダル雑誌などで「母親が略式結納品を台ごと手渡しする」という手順を紹介し広まりつつありますが、あれは雑誌側で提案された全くデタラメな作法なのでご注意を。

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中部・北陸地方から結納を持って行く時の注意点

結納を持って行く側は、次のような点に気を付けるとよいでしょう。

  • 中部・北陸地方独特の風習として相手方に伝えておく事柄は、とくにありません。
  • 受書男性側で用意しておく場合は、早めに女性側へ「受書はこちらで用意しておきます」と伝えておきましょう。
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  • 関西・近畿地方・西日本へ持参する場合は、先方の風習に合わせて「広蓋盆・ふくさ」を用意するか、または、「こちらの風習で行います。広蓋盆・フクサは使いません」と伝えておきましょう。
  • 関西・近畿地方・西日本へ持参する場合は、高砂人形を付けましょう。
  • 九州地方へ持参する場合は、お茶に水引飾りをつけたもの(詳しくは当店までお問い合わせ下さい)を必ず付けましょう。
  • 結納を行う場所、食事の用意については、相手側にお任せしましょう。
  • 結納返しについては相手側にお任せしましょう。
  • 遠方の場合は、宅配便で先に結納品を配送しておくと便利です。(当店にて対応いたします)
  • 結納の大きさや品数など については、相手側の地域の一般的な結納とあまりかけ離れない 程度のものが良いでしょう。
    (各地の結納については、こちらのページをご参照ください)

結納・結納返しは、持参する側・受け取る側がそれぞれの地域の風習で行うのが基本です。
あとは、地域によって「必ず用意するもの」などがあれば、結納店などに確認し、わかる範囲で対応します。
ご質問・ご不明な点がありましたら、当店までお気軽にお問い合わせ下さい。

中部・北陸地方から結納をもらう時の注意点

結納をもらう側は、次のような点に気を付けるとよいでしょう。

  • 中部地方の結納は、昔は「派手」というイメージがありましたが、現在ではコンパクトなものが主流となっており、「大きなものを持って来たらどうしよう」という心配をする必要はありません。
  • 結納を受ける場所(自宅または料亭など)については女性側で決め、男性側に伝えます。
  • 結納返し必ず行います。
    同時返し にするか 日をあらためて行う かについては、女性側の都合で決めます
  • 結納の引き出物を必ず用意します。 (結納の引き出物 についてはこちらのページをご参照下さい)